2026年10月1日の施行・適用に向けて、
パート・有期法施行規則が改正されるとともに、
同一労働同一賃金ガイドラインも見直されました。
今回はその改正内容のうち、
雇い入れ時の労働条件明示事項の追加について、実務対応も含めて解説します。
改正の背景
同一労働同一賃金の実現に向けた取り組みが段階的に強化される中、
パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるため、
2026年10月1日から複数のルールが改正されます。その柱となるのが、
雇い入れ時の労働条件明示事項の追加です。
2026年4月30日には厚生労働省より
「労働条件通知書等の普及促進について」の一部改正通達が公表され、
2026年10月1日施行予定の省令改正に対応したモデル様式が新たに示されています。
これまでの明示事項(パート・有期法独自の4項目)
労働条件の明示については、労働基準法第15条により、
すべての労働者に対して一定事項の明示が義務付けられています。
これに加えて、短時間労働者および有期雇用労働者については、
パート・有期法により、雇い入れ時に
「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」
「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の
4項目を明示することが求められてきました。
今回新たに追加される明示事項
今回の改正では、これらに加えて
「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」を
新たに明示することが必要となりました。
これは、パートタイム・有期雇用労働者が、
正社員など通常の労働者との待遇の相違の内容やその理由について、
事業主に説明を求める権利があることを、雇い入れ時に書面で
しっかりと伝えることを義務付けるものです。
パート・有期法第14条に基づく
「説明義務」の周知を制度的に担保しようとする改正といえます。
実務上の重要ポイント
今回の改正は、単に労働条件通知書の書式を少し変えるだけの話ではありません。
正社員とパート・有期雇用労働者との間に待遇差がある場合、
その内容や理由を説明できる状態にしておくことも重要になります。
従業員から「なぜ正社員と手当が違うのか」「賞与の算定方法はどう決まっているのか」
と問われた際に、企業側が合理的な根拠をもって説明できなければ、法令違反のリスクが生じます。
企業が今すぐ取るべき対応
①まず現在使用している労働条件通知書・雇用契約書のひな形を改訂し、
新たな明示事項を追加してください。厚生労働省が公表した改訂版モデル様式が参考になります。
②次に、正社員とパート・有期雇用労働者の間にある待遇差
(賃金・手当・賞与・福利厚生など)を項目ごとに洗い出し、
それぞれの差の内容と合理的な理由を整理しておきましょう。
③従業員から説明を求められた際に対応できる担当者と手順をあらかじめ定め、
社内の対応フローを整備することも不可欠です。
まとめ
2026年10月1日以降に雇い入れるパート・有期雇用労働者から新ルールが適用されます。
書式の更新は比較的シンプルですが、その背景にある「待遇の透明化」と
「同一労働同一賃金の徹底」への対応こそが本質です。
「自社の書式で大丈夫か不安」「待遇差の整理をどこから始めればよいかわからない」
という場合は、お気軽に当事務所へご相談ください。
