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TOP 2026年の法改正は“静かに効く”
企業実務を揺らす4つのポイントを社労士が解説
2026年の法改正は“静かに効く”
企業実務を揺らす4つのポイントを社労士が解説

2026年は、労働基準法の大幅改正こそ見送られたものの、企業の実務運用に直接影響する“静かな大改正”が相次ぎます。特に、社会保険・女性活躍・ハラスメント対策・障害者雇用の4分野は、中小企業にとっても避けて通れないテーマです。表面的には小さな変更に見えても、給与計算・人事制度・採用戦略にまで波及するため、早めの対応が求められます。


1.健康保険の「扶養認定ルール」が大きく変わる(2026年4月)



2026年4月から、健康保険の被扶養者認定が「実際の収入」から「労働契約ベース」へと大きく転換します。
これまでパート従業員は、繁忙期の残業で年収130万円を超えると扶養から外れる可能性があり、
いわゆる“働き控え”の原因となっていました。
しかし新ルールでは、
・労働条件通知書に記載された基本給ベースで年間収入を判定
・残業代など臨時的収入は原則カウントしない
という仕組みに変わります。
企業側は、
雇用契約書の賃金欄の整備
扶養申請時の書類準備
パート従業員への説明 が必須となります。
特に「口頭契約」のまま運用している企業は要注意。
書面がなければ新ルールの適用外となり、従来の“実収入ベース”で判定され続けます。


2.女性活躍推進法:情報公表義務が“101人以上”へ拡大(2026年4月)



これまで女性活躍推進法の公表義務は「301人以上」の企業が対象でしたが、
2026年4月からは101人以上の企業にも拡大されます。

1.公表すべき内容は、
2.男女の賃金差異
3.女性管理職比率 など、企業の“見える化”が求められる指標です。

中小企業にとっては、

データ収集の仕組みづくり
評価制度の見直し
採用広報への影響 など、実務負担が一気に増えます。

特に賃金差異は、制度の歪みや昇給ルールの不整合が露呈しやすく、
単なる“数字の提出”では済まないケースも。社労士としては、制度設計の根本に踏み込んだ支援が求められます。


3.カスタマーハラスメント対策が義務化(2026年10月)



2026年10月から、労働施策総合推進法の改正により、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置が義務化されます。

対象となるのは、
1.過度な要求
2.暴言・威圧
3.SNSでの不当な晒し行為 など、従業員の心理的安全性を脅かす行為。

企業が講ずべき措置は、

1.カスハラの定義と対応方針の明確化
2.従業員への教育
3.相談窓口の設置
4.事案発生時の対応フロー整備 など。

特にサービス業・小売業では、従業員の離職防止に直結するテーマであり、
就業規則の改定だけでなく、現場の運用ルールまで落とし込む必要があります。


4.障害者雇用率が2.5%へ引き上げ(2026年7月)



2026年7月から、障害者法定雇用率が2.5%へ引き上げられます。
企業規模によっては、1名以上の追加雇用が必要になるケースも多く、採用難の中で大きな負担となります。
また、雇用率達成のための“数合わせ”ではなく、

1.定着支援
2.業務切り出し
3.合理的配慮の提供 が求められるため、社労士としての支援領域が広がる分野です。


まとめ:2026年は「制度の穴」が露呈する年。社労士の腕が問われる



2026年の法改正は、派手さはないものの、企業の実務運用に深く入り込む内容ばかりです。 特に、
1.扶養認定の新ルール
2.女性活躍の公表義務拡大
3.カスハラ防止義務化
4.障害者雇用率引き上げ は、
中小企業ほど影響が大きく、制度の“ほころび”が表面化しやすい領域です。
社労士としては、単なる法改正の説明にとどまらず、
「企業の運用に落とし込む」支援こそが価値になる年 と言えます。